【2021年版】これぞ東京の伝統工芸品!江戸切子の特徴と歴史、魅力とは?

江戸切子伝統工芸品・民芸品
江戸切子

体験もできる!江戸切子の魅力とは?

 近年ではレトロブームが起きていて、昭和の音楽やおもちゃ、お菓子などに触れたいと思っている若者が増えています。埼玉県の川越市が小江戸として人気になったように日本の伝統文化に触れたいという人も国内外に増えていて、東京スカイツリーの展望デッキと地上を結ぶエレベーターの内装にも江戸切子が使われていたり、スターバックスコーヒーは「JIMOTO made Series」の中で墨田区の店舗限定で江戸切子のグラスを販売、歴史と伝統があるガラス製品に注目が集まっています。カップルや夫婦の間ではペアグラスやお猪口など酒器が人気で記念日などにプレゼントしたり、思い出の品として購入することも増えているそうです。

江戸切子酒器
江戸切子の酒器

 また、江戸切子作りを体験できる場所も数多くあり、作り方を一から学ぶこともでき、「知識や経験がない初心者でも指導を受けながら世界に一つだけの江戸切子を作ることができる」と人気のようです。

 江戸切子は非常に美しい模様なので、実用品だけではなく、インテリアとしても活躍してくれます。和風な空間や和室がある場合は江戸切子を置くことで雰囲気がグッと引き締まります。もちろん見た目だけではなく実用性も兼ね備えているガラス製品なので、毎日の食卓を彩るためにもオススメです。

和ガラスの歴史

 現在日本に残る最も古い切子の器は、正倉院の白瑠璃(はくるり)の碗と言われています。この碗は、ササン朝ペルシアの後期にメソポタミア地方で作られたもので、シルクロードを伝って渡来したものです。その後、日本ではガラスの器の歴史は一時途絶えました。

透明でごく薄い褐色味のついたカットグラスの碗。アルカリ石灰ガラス製で、円形の切子による装飾が亀甲繋ぎの文様として外面をおおう。ササン朝ペルシアで製作されたものといわれる。

宮内庁HP https://shosoin.kunaicho.go.jp/treasures/?id=0000011989&index=0

 再び日本の歴史にガラスが登場するのは、16世紀ポルトガル船が長崎の種子島に漂着した戦国時代の頃。その後、宣教師たちが来日するようになり、日本にカットガラスなどが持ち込まれました。「ギヤマン」「びいどろ」と呼ばれており、当時は非常に高価な物でした。その後、長崎でガラス作りが行われるようになり、江戸時代になると江戸、大阪、薩摩をはじめ全国で作られるようになっていきました。

バカラやスワロフスキー、ガレとも比較される江戸切子の歴史

 ガラス製品には色々な種類があり、「何を選んだら良いのか分からない」という声をよく耳にします。見た目の好みなどを参考にして第一印象で決めるのも悪くないですが、やはり最低限の知識は持っていた方が選ぶ時の楽しみを感じることができます。製品の特徴をはじめ、歴史背景や職人を知ることで自分に合うものが分かるので、ガラス製品を選ぶときの良い判断基準になるはずです。

江戸切子

 江戸切子はカットグラス工法のガラス工芸・ガラス細工で、歴史は古く起源は江戸時代末期頃と言われています。今から174年前に江戸大伝馬町のビートロ屋、加賀屋久兵衛(通称:加賀久)が金剛砂を用いてガラスの表面に彫刻で模様を施したのが始まりと言われており、日本独自の技術に西洋の製法を加えたことで、当時としては信じられないような美しいデザインのガラス製品を作ることが可能になったそうです。

 江戸切子はもともと、透明なガラス(透きガラス)に、切子細工を施し、手すりと磨きで仕上げていくガラス細工でした。 明治期以降は、薩摩切子の消滅もあって江戸においても色被せ(いろきせ)の技法・素材も用いられるようになり、色ガラスの層は薄く鮮やかなのが特徴です。 加工法も従来の文様を受け継ぎながら、手摺りからホイールを用いたものに移行していきました。 現在では、当初からの素材であるクリスタルガラス等の透明なガラス(透きガラス)よりも、色被せガラスを素材に用いたものが切子らしいととらえられ、数多く生産されています。

江戸切子のライバル?薩摩切子との違い

江戸切子

 カット後の色ガラスの残り方と厚みに江戸切子と薩摩切子の違いがあり、これを理解することで選ぶ楽しさが生まれます。江戸切子の特徴は、美しい文様と優しい雰囲気です。日本らしい和の雰囲気と調和を感じるデザインなので、日本人にとっては懐かしさを感じることができますし、外国人にもその魅力は伝わるようです。近年は海外から江戸切子を買い求める方々も多く、日本での旅行の思い出やお土産として好まれているようです。

薩摩切子
グラデーションが特徴的な薩摩切子

 

 薩摩切子の特徴は、グラデーションという技術を使った製法です。色の濃淡が非常に美しく、「ぼかし」などを多用するのが最大の特徴です。江戸切子よりもやや厚めに作ることが多く、重厚感が欲しい場合は薩摩切子の方が良いです。ガラス製品は厚みが違うだけでも印象はガラッと変化します。

 薩摩切子の歴史を語る上で薩摩藩28代目藩主島津斉彬は外せません。島津斉彬は諸藩に先駆けて藩の富国強兵に努め、反射炉・溶鉱炉の建設、洋式造船、地雷・水雷・ガラス・ガス灯の製造などをはじめました。その中、薩摩切子は藩の産業として発展していきました。その美しさから「薩摩の紅ガラス」を称賛された着色方法も研究され、藍・紫・紅・緑などの発色に成功したと言われています。しかし、残念ながら島津斉彬が亡くなるとこれらの事業も縮小され、薩英戦争で工場は焼失。明治時代の西南戦争前後には薩摩切子の技術も完全に途絶えてしまいました。薩摩切子も江戸切子と同時期に誕生したと言われていて、いわゆるライバルのような感じで切磋琢磨していたという見方をする専門家も存在します。

 江戸切子と薩摩切子。どちらか一方を購入するのも良いですが、両方購入してその違いに着目して比較してみると新しい発見があり面白いかもしれません。

なぜ江戸切子だけ伝統工芸品に認定されたのか?

 江戸切子は国が定める伝統工芸品に認定されているにもかかわらず、薩摩切子は伝統工芸品に指定されていません。伝統的工芸品に指定されるには5つの要件を満たさなければなりませんが、「①主として日常生活の用に供されるもの」「②伝統的技術または技法によって製造(薩摩切子は一度技法が失われてしまっているため該当せず)」以上2点が要件を満たしていないために伝統工芸品に認定されていません。

江戸切子の使い方と保管方法

切子は非常に繊細なので、使い方と保管方法には注意が必要です。

  1. 急激な温度変化に弱いので、食器乾燥機・オーブン・直火・冷蔵庫や電子レンジでの使用を避ける。
  2. 食器洗浄機での使用は避ける。
  3. 油ものと一緒に洗わない。
  4. 柔らかいスポンジや布で洗う。
  5. 柔らかい布で丁寧に拭く。
  6. 保管時に重ねて保管しない。

江戸切子体験のできるオススメのお店

江戸切子工房ショップ江戸切子館 https://www.edokiriko.net/
東京都墨田区で江戸切子の制作体験ができるお店です。
切子工房浅草おじま http://www.edokiriko.jp/
浅草で人気の江戸切子体験のお店です。
創吉 https://www.sokichi-workshop.com/blank
こちらも浅草で人気の切子体験のできるお店です。

旅の思い出やデートに江戸切子体験はいかがでしょうか?予約など詳しい情報は上記公式サイトをご覧ください。

オススメの江戸切子通販サイト

堀口切子 https://www.kiriko.shop/
江戸切子を製造・販売する「堀口切子」の公式オンラインショップです。

 ざっと江戸切子について説明してきましたが、お家にいながら江戸切子を購入したいという方にオススメな通販サイトが「堀口切子」さん。現代的なデザインの江戸切子も数多く取り揃えており初めての江戸切子という方にもオススメです。ぜひご覧ください。

山田硝子 https://www.yamadaglass.tokyo/

 江戸切子にも数多くの工房があり、そのひとつが墨田区「山田硝子」さん。三代に渡って80年続く江戸切子の工房で、葛飾北斎の富嶽三十六景をイメージした江戸切子やぐい呑、ロックグラスなど数多くの作品を購入できます。

 毎日お洒落な入れ物でお酒を楽しむのも粋です。特に日本酒などは口当たりがとても重要なので、日本酒の種類によって江戸切子と薩摩切子を使い分けるのも贅沢の一つです。普段の食卓がパッと明るく華やかになるので、気軽に外食できないときでもお家時間を贅沢に演出してくれるでしょう。

タイトルとURLをコピーしました