有田焼の しん窯「青花」がきになる。

長崎港に訪れた異人さんたちが描かれた皿。渕が波模様になっている。職人・窯元・会社

やわらかな藍色と愛らしい絵柄に目を惹かれる、有田焼「しん窯・青花」のうつわ。比較的安価な部類の器で知られる窯元ですが、今回はその親しみやすい器の魅力に迫っていきます。

▶「しん窯青花」ってどんなブランド?

日本の磁器発祥の地、有田に工房を構える「しん窯」は1830年(天保年間)に有田皿山・外山で創業し、鍋島藩の指導のもとに「民窯(みんよう)」として築窯されました。民窯とは、一般民衆向けにつくられた実用的なうつわや皿を焼く窯のことです。創業当時は「新登り窯」と呼ばれ、身分の高い限られた人のために焼かれた官窯・藩窯とは異なり、庶民のくらしに馴染むうつわを作ってきました。「新登り窯」から「新窯」、そして現在の「しん窯」という社名に至ります。

青花の皿

「ビューティフル・ハーモニー・シリーズ」新発売
自然の中で可愛い姿で生き延びている「生命のリズム」をモチーフにした「ビューティフル・ハーモニー・シリーズ 」。
おかげさまでお問い合わせを頂いてます。
人々に寄り添った素朴で優しい器ですが、遊び心としてそれぞれ3枚のお皿の中に、ハート型の葉っぱや小鳥が描かれています。わかりますか?


https://www.instagram.com/p/Bwjb5stHA8d/?igshid=qsnq4u9xxm88

しん窯のブランドである「青花(せいか)」は1976年(昭和51年)に確立され、白い素地に藍色の顔料で文様を描く染付のうつわを製造・販売しています。視覚的にやさしい青と白で作られたうつわは、現代のくらしに即した形状・デザインにもこだわっています。

▶ しん窯青花の特徴―どうやって作っているの?

しん窯の鉢
各段階における職人技の連携により、世界でたった一つのうつわができる。

以前ご紹介した、転写技術を用いた賞美堂「其泉窯」とは対照的に、絵付けの線引き(すじ引き)・輪郭(描き)・色塗り(濃み)・銘描きなど、各工程でそれぞれ職人が担当します。絵付け以外でも、素地の成形や窯で焼き上げ、製品として世に出すまでの工程で多くの職人の手により大切に作られています。しん窯では職人技の見学や、うつわ作りの一部を体験することもでき、作り手と使い手が触れ合う機会が用意されています。詳細はしん窯公式WEBサイトをご確認ください。

しん窯「青花」には、以下のような特色があります。
・形状のおおらかさ
・絵柄の楽しさ、ユニークさ
・呉須*1の味わい
・釉薬の温もり
・全体的に暖かく、控えめで、飽きのこない暮らしの器

https://shingama.com/hpgen/HPB/entries/917.html

▶ しん窯「青花」の魅力

これから「青花」のうつわをいくつかピックアップしていきます。

しん窯の異人ミルクカップ
しん窯の花ミルクカップ

左のカップで描かれている紅毛人は眉根をひそめ指をさし、何やら不機嫌そうな様子。ですが、ちょこんと乗ったハットやデフォルメされた後ろ姿がかわいらしいですね。

右のカップでは静かに咲く花が描かれ、趣あるデザインです。絵付けで輪郭線をつけたあと、太い筆で呉須の量を調節しながら塗る「濃み(だみ)」という技法で描かれています。楚々とした花のデザインは女性にも人気があるようです。

異人の有田焼皿

やさしい筆致で異人と帆船が描かれ、しん窯の中でも定番のシリーズとなっています。穏やかな波がゆったりとした時の流れを感じさせられます。異国から来た彼は、船を見送っているのか、あるいはこちらにつくのを待っているのでしょうか。

しん窯「青花」の4寸丼。子ども用取り皿にピッタリ。
ゾウが描かれたこちらのうつわ。そのやさしいほほえみに思わずこちらも癒されてしまいます。
割れてしまう器だからこそ、「ものを大切に扱うこと」をちいさい子どもの頃から伝えるのによいかもしれません。

▶ まとめ

癒し系の雰囲気をまとったしん窯「青花」のやきもの。
そのうつわができるまでにはたくさんの職人の手と、受け継がれた伝統技術が詰まっています。

しん窯 プロモーションビデオ 8.0
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