英国の名窯エインズレイってどんなメーカー?

世界の工芸品

 エインズレイはイギリスを代表する陶磁器メーカーの1つです。花柄の透かし模様や金彩を施す豪華なデザインを特徴とした、ティーカップやティーポットあるいはプレートや陶花など、数々の高品質な陶磁器を提供しています。特にこのメーカーは英国王室とのつながりが深く、ヴィクトリア女王やエリザベス二世女王などロイヤルファミリーを中心に、数多くの貴族から親しまれてきました。

エイレンズレイのティーポット

 現在でも世界80カ国以上のデパートや老舗有名ホテル等で幅広く愛用されている、世界的に有名な伝統ある陶磁器メーカーです。 エインズレイの歴史は古く、1775年に炭鉱経営者だった初代ジョン・エインズレイが当時の白磁ブームに乗って、イギリスのストーク・オン・トレントに窯を建てたことから始まります。当時の陶器製ティーポットを見ると、黒プリントの上から丁寧で繊細なハンドペイントで仕上げており、熟練の職人による高度な技と豊かな経験をうかがい知ることができます。

 さらに翌年の1776年にはロングストンのフリントストリートにも窯を建設。自らの不動産を工房へ転換し、時流に乗った経営で急速に発展していきます。 2代目のジョン・エレンズレイ2世の時代になると、1861年に新たに3階建ての工場を設立します。外観デザインにはイタリア様式とジョージ王朝様式を採用し、気品の高さと堅牢さを感じさせるものでした。当時の工場としては機能性にも優れ、採光性の高い大きな窓が設置された広々とした工房は、職人たちに快適な作業環境を与え、高品質の陶磁器を次々と生み出していきます。

エインズレイの薔薇のティーカップ

 なおエインズレイ2世は1886年から1890年までロングストンの市長を務めており、地域の人々から厚い信頼のあったことがうかがえます。それを証明するかのように、1888年にはサザーランド公爵と共に功績を讃えられ、ロングストンのクイーンズパークに記念碑が建てられています。 1896年はこのメーカーにとって、記念すべき年になります。というのも、ヴィクトリア女王の在位60年を記念して、ファイン・ボーンチャイナのカップとソーサ、そしてプレートを制作することになったからです。プレートには女王の肖像、そしてカップとソーサには英国旗や国王旗が描かれ、明るく華やかに仕上がっています。 その後も王室に関わる作品を次々と発表していきます。

エイレンズレイのティーカップ

 1931年にメリー女王に用命されたカップとソーサには、チューリップのデザインが施され、華麗かつ爽快なフォルムを特徴とします。またそれ以外の作品にも、女王陛下へ献上されたことを示す刻印を目にすることができます。1947年には当時のエリザベス王妃とフィリップ王子のご成婚を祝う正餐用食器一式として、このメーカーのウインザーシリーズが採用されます。さらに1981年にはウェールズ大公と故ダイアナ元妃のご成婚を祝って陶磁器を献上。2010年にもウィリアム王子の婚約が発表されると、カップルの写真を載せたロイヤルコレクションシリーズを発表しています。このように今日までエレンズレイは王室からも厚い信頼を得ながら、最高品質の作品を生み続けています。

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