笠間焼の歴史からオススメ窯元まで全部を紹介
笠間焼の歴史や特徴
笠間焼は茨城県の笠間市周辺で作られている陶器です。この辺りで陶器が作られ始めたのは江戸時代の中ごろのことで、箱田焼と宍戸焼が元となっていると言われています。江戸時代に常陸国にあった笠間藩は窯業に力を入れていて、御用窯をおきました。ここでは貯蔵に使われる甕やすり鉢などの、日用的に使用される器や調理器具が作られていたという歴史があります。さらに明治時代の初め頃になると、より盛んに作られるようになりました。現在では、関東地方では益子と並んで良く知られた窯業産地となり、多くの陶芸作家がこの地で活動をおこなっています。笠間焼には笠間粘土と呼ばれる、関東ローム層から出土した土が使われているのが特徴です。花崗岩が風化してできた粘土で、粘りがあるため成形しやすく焼き物を作るのに適しています。また鉄分が含まれているので、焼成すると独特の色が現れます。そのような笠間焼は他の地域の焼き物と比べても大きな特徴がない、と言われることがある焼きものです。そのため特徴がないのが特徴と言われることもあります。伝統にこだわらず自由な作品を作ることができる環境があったため、戦後多くの作家が集まったことがこのような笠間焼の特徴に繋がっているといえるでしょう。
笠間焼のあれこれ
笠間焼の産地では、毎年「笠間の陶炎祭」というイベントがおこなわれています。このイベントは茨城県では最も大きな規模を誇る陶器の祭典で、毎年4月29日から5月5日まで行われているのが特徴です。会場となっているのは、笠間芸術の森公園のイベント広場です。200軒を超える陶芸家や窯元、陶器ショップなどがそれぞれに屋外にお店を出す、笠間焼 陶器市が目玉となっています。気軽に立ち寄ることができるような手作り小屋が並んでいて、それぞれ個性的な店づくりがおこなわれているのも特徴です。掘り出し物が見つかる可能性があるため、陶器好きな人にとっては堪らないイベントとなっています。またイベント会場では美味しいグルメも楽しむことができ、人気を集めています。飲食店も陶芸家たちが担当していて、中にはこのイベントならではの名物となっているものもあるほどです。茨城県内では笠間焼 体験ができる施設もあります。芸術の森公園の中には笠間工芸の丘という施設があり、ここではろくろ体験や手ひねり体験などをすることができます。webや電話を利用して手軽に申し込みができるようになっているので、希望する体験教室や日時を選んで申し込みをしてみるとよいでしょう。
笠間焼の作り方
笠間焼の作り方は、古くからの伝統を継承した方法では、金属質が混じっている土を集めてふるいにかけ、余計な物質を全て無くした状態で粘土を作成することが始まりです。金属が混じっているということが本来の笠間焼の特徴でもあり、窯で焼いた後には金属が焦げたような色味に仕上がること、焼き方によって表現が変わるということも世界で唯一の工芸品を作る上では貴重な焼き物です。粘土を作った後には、十分に混ぜ合わせる作業が必要とされ、乾燥をしないように水分をある程度含んだ状態で練り合わせる手順で素材は完成します。その後の過程は現在では原則自由とされ、粘土細工のように手で紐状にしたものを繋ぎ合わせて造形する方法、手で器等を自由な発想で造形する方法、定番のろくろを使って回転させながら均一な造形を行う方法になります。通常はこげ茶色、若しくは赤茶色に仕上がることが本来の笠間焼ですが、釉薬を用いて色付けをしたり、白色に近い土を混ぜ込んで色味を自在にコントロールしながらの作り方も行われています。焼く前には模様を描いたり、着色に向いている釉薬で品の良い柄を描く方法も人気があります。ここまでの作業工程を終えた場合は、数日間を乾燥させる必要性があり、素焼きを行った上で本焼きする方法で丈夫で自然の風合いの強い笠間焼を完成させられます。窯は自作でも構いませんが、本来は土の斜面を活用した窯を使うという正式な方法があります。粘土の粘りが非常に強いことから造形には適している一面と、完成後の頑丈さも十分なことから作り方も意外と簡単です。
笠間焼の作家紹介
笠間焼の有名な作家には「松井康成」という陶芸家が挙げられます。1927年生まれで2003年に死去されました。国の重要無形文化財である「練上手」の保持者であり、人間国宝ともなっていた人物です。月崇寺の住職で1960年にお寺の境内に窯をつくり、作陶を始めています。1988年には社会や福祉、文化などに貢献したとして天皇から授与される紫綬褒章を受賞しています。異なる色の粘土で模様を表す練上手の保持者に認定されたのは1993年のことでした。東京国立近代美術館では「練上玻璃光大壺」という作品を見ることができるほか、茨城県陶芸美術館には練上嘯裂文大壺の「風船」や三層象裂瓷壺の「岳」といった作品もあります。また笠間焼の有名な作家としては「柴田宋休」という陶芸家も欠かすことができません。1949年生まれの人物で、人間国宝である松井康成に師事した人物で、練上手の技法を継承しています。そして人間国宝の松井康成の長男である「松井康陽」という人物も練上手を手掛ける陶芸家です。1962年生まれで、1985年に月崇寺の陶房に入っています。最近でも百貨店の美術画廊でイベントがおこなわれたり、ギャラリーで展示されたりすることが多くあります。
笠間焼の窯元の紹介
茨城県の笠間は、数多くの陶芸作家や窯元が活動をおこなっている陶器の産地です。そのような笠間で活動をおこなっている窯元の1つが「向山窯」です。向山窯は、常に10名以上の陶芸家が在籍していて作陶をおこなっています。若手の陶芸家が多くいるのが特徴ですが、そのうちの5名は国に認定されている笠間焼伝統工芸士です。全国でも最年少で伝統工芸士として認定された作家もいるのがこの窯元です。それぞれの陶芸家の個性を生かした作品を生み出すことができるようになっているのが特徴でもあります。日常的に使用するのにも適した食器が手に入る窯元です。「東風舎」は伝統にとらわれずに、自由な陶器を作ることを目指している笠間焼の窯元です。工芸の丘近くの陶房で、3名の陶芸家が作陶をおこなっています。ギャラリーも併設しているので、気軽に訪れることが出来るでしょう。個性が感じられる美しい器を生み出している窯元です。また「いそべ陶苑」という笠間焼の窯元もあります。ここの工房では日用の食器や花器、額皿などが作られているほかギフト用途にも適した作品が作られています。伝統を活かしつつも、現代の生活様式に合った作品を創っているのが特徴の窯元です。
通販や実店舗など笠間焼が買えるおすすめのお店!
笠間焼の作品は現地を訪れた際に、実物を見ながら選ぶということも出来ますが近年では通販を利用してインターネットで注文をすることができるようにもなっています。茨城県に旅行に訪れた際には、笠間にある工房に併設されているギャラリーを訪れたり市内にある陶器の販売店に立ち寄ったりして購入することが可能です。笠間市にある「笠間焼窯元共販センター」は、陶磁器の専門店でいくつものお店が集まって展示・販売をおこなっています。駐車場も併設されているため車で訪れるのにも便利であるほか、陶芸体験もできます。「向山窯・笠間焼プラザ店」も、笠間市を訪れた際におすすめの専門店です。人気の向山窯の器やお皿は、ここで購入することができます。落ち着いた雰囲気のお店です。直接訪れることが出来ない場合には、通販が便利ですが、その際におすすめのお店の1つが「テーブルライフ」のオンラインストアです。浅草橋に拠点を持つ会社が手掛けている通販サイトで、様々なモダンな和食器を扱っていて、笠間焼の取り扱いもあります。現代の生活様式に合った、お洒落なプレートやカップなどの和食器が手に入るのでお洒落な笠間焼のアイテムを購入したいときに向いている店です。