究極の伝統食器 と だしカレー
有田焼の名窯と人気カレー店が紡ぐ不思議なものがたり
本日の舞台は大阪福島の住宅街に佇む、 隠れ家的人気カレー店 「シャンカラ堂」。 焼き物に宝石のような色彩感を 取り入れ、 有田焼の新時代を築いてきた真右エ門窯。 変幻の釉薬彩色がバエると、 ドラマのセットやメディアに登 場し話題を集め続ける。 まさに新時代の伝統工芸を牽引するリーダー的存在である。 その真右エ門窯のものづくり に切っても切れない関係を持つお店がある。 それが、 ここ 「シャンカラ堂」 というわけである。 本日はここで伝統食 器とカレーについて切り口鮮やかで不思議な物語をお聞かせていただいた。 真右エ門窯の変幻の釉薬とは一体どの ようなものなのであろうか。 真相を探っていこう。
取材 ・ 写真 | 高木皓平
<写真左> 馬場泰嘉 (ばば・ひろかず)
エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター
有田焼の窯元役員であり、風姿花伝を研究す る陶芸家です。日本の伝統と現代の感性を融 合した作品を制作しています。TED×Saikaiに出演したり、ディーン•フジオカ主演ドラマに美術提供したりするなど、多彩な活動を展開。
@aritayaki_baba
[写真右] 小峯充靖 (こみね・みつのぶ)
オーナーシェフ・ハレの日料理の研究家
京都の有名ホテルでのバーテンダーやソムリエ を歴任。新たに立ち上げたBar REFUELをは じめ、日本料理のオーナー業等、経験に富む 人生を歩む。現在は、出汁カレーの人気店 「シャンカラ堂」のオーナーシェフ。
「ハレ」 と 「ケ」 の美意識
馬場 日本人には、 『ハレとケ』 という美意識があります。 『ケ』 は日常の生活であり、 『ハレ』 は非日常の祝祭です。 『ハレ』 の場では、 特別な食事や器などが使われます。
小峯 シャンカラ堂では、 スパイスの香りとコクに和食の技術を取り入れた出汁カレーが特徴で、 一方の真右エ門窯さんの器は、 伝統的な技法と現代的なデザインが融合した芸術品です。 そして、 器とかでハレの要素を取り入れています。
馬場 シャンカラ堂さんでは、 小峯シェフの 「ハレー」 ライスが食べられるということですね。
小峯 そうですね!笑、 心に新たな輝きを与えることができます。
屋号に込められた意味と、まことのものづくり
小峯 カレー屋さんにちなんで、 インドのサンスクリット語という言葉で吉兆を呼ぶとか、 幸せ呼ぶとか、 そういう 意味なんです。 あと福を呼ぶとか。 それで、 シャンカラがまた別の意味では、 インドの神様である、 シバ 神の異名でもあるんですよ。 だから前日もね、 インドの方とちょっと話てて、 一度お店の名前を言ったら、シバ神ねって。
小峯 このロゴを考えるにあたって、 カタカナでシャンカラなんですけど、 よく読むとひらがなでも読めるんですよ、「しゃんから」 って。 ちょっとこじつけになるんですけど ( 笑 )。 和のテイストというか日本べースを意識しな がら、後ろの”堂”自体はちょっと日本風を意識したような名前にしました。
馬場 よく、〇〇右エ門 ( エモン ) とかって聞かないですか? 焼き物の仕事に携わる人のことを右エ門というので すが、 そこに初代の名である真一郎の” 真” の名をとって真右エ門としたのが始まりになります。 また、 初代真一郎氏の真の字には真実の真や、 嘘偽りのないホンモノという意味が込められ、 嘘をつかない子に 育ってほしいという親の願いが込められていたそうです。 その、 名前や意味の響き (嘘偽り無くひたむきに、 本質を追究し、 人の心に響く作品を制作するということ) がお客様にお喜びいただけるブランドコンセプトに はまりましたので、 真右エ門窯と名付けられました。
飲食店から見る有田焼の強み
小峯 有田焼の器は料理人の中で丈夫で使いやすいとよく言われています。 その有田焼の中でも真右エ門さんの 器は何より色が綺麗。 なんなんでしょうね。 真右エ門さんの辰砂って独特ですよね。 なんかね、 もっとね、、、、 茶色というか、 安っぽい赤色になるのですよ。 辰砂って。。。 真右エ門さんの辰砂の器は日本料理にもうまいことハマってくださる。 煮焚きものに合わせてもとても馴染ん でくれます。 今の季節だったら冬瓜とか炊いたものを入れてもいいですね。
小峯 シャンカラ堂のカレーは本場のレシピとあえて離したカレーで、 むしろ、 日本の伝統を受け継いだような 日本人に口馴染みのいいカレーを、 窯元さんの器とかとコラボして作っているようなイメージでやっています。 カレーというジャンルは色々あれど、 カレーを嫌いな人っていうのはあまりいらっしゃらないので、 そこに降り立 たせて頂いて、 自分の学んできた日本料理を取り入れてうまく表現できればと思っています。
馬場 カレーというのが一つのアートになってますよね。 有田焼を使って頂け光栄です。 実は、 もう一つご紹介した い器があるんです。
青き明星 (あおきみょうじょう)
馬場 かつて作品作りに、 いいアイデアと閃きを求めて、 京都のお寺や飲食店で感性を磨いていたことがあります。 いろんなお店を回っている間に接客が良い評判店があると聞き立ち寄ったのが、 小峯さんが経営していらし た BAR REFUEL でした。 真右エ門の作品作りで 『艶 ( 幽玄美 )』、 『自然体』、 『無心』 というコンセプトを 取り入れているのですが、 その中の一つに小峯さんから教わり大事にしていることがあります。
小峯 本当ですか!
馬場 『自然体』 という考えですね。 真右エ門窯は、 有田焼の伝統と現代の美を表現する陶磁器を作っています。 私たちは、 お客様に喜んでいただける作品を作るために、 常に 『職人道』 を守り、 自分自身に厳しく挑戦 して続けています。 職人はお客様が分かる分からないに関わらず、 手を抜くことは許されません。
如何だっただろうか。今回は、食と陶芸にまつわる話を歴史と美意識、伝統に革新という切り口で語って頂いた。2人の異色のプロフェッショナル領域ながら、絶妙に交錯する2人らしい魅力が言の葉に込められていた。真右エ門窯とシャンカラ堂、それぞれの異なる美の世界を追求しながらも、互いに共鳴し合う関係が、新たな「ハレ」と「ケ」を生み出していると言える。料理の香りと器の美が薫り立ち、食事を祝福の瞬間へと昇華させる。伝統に現代の創造性が見事に融合し、日常を非日常へと変える魔法が紡がれた匠の物語。日本に咲く新しい美の一端を見つけたハレの日であった。
本日登場した器
【有田焼】 焼酎グラス 陽光
【有田焼】 焼酎グラス 燿変辰砂 "花乃光"
本日の舞台は大阪福島の住宅街に佇む、 隠れ家的人気カレー店 「シャンカラ堂」。 焼き物に宝石のような色彩感を 取り入れ、 有田焼の新時代を築いてきた真右エ門窯。 変幻の釉薬彩色がバエると、 ドラマのセットやメディアに登 場し話題を集め続ける。 まさに新時代の伝統工芸を牽引するリーダー的存在である。 その真右エ門窯のものづくり に切っても切れない関係を持つお店がある。 それが、 ここ 「シャンカラ堂」 というわけである。 本日はここで伝統食 器とカレーについて切り口鮮やかで不思議な物語をお聞かせていただいた。 真右エ門窯の変幻の釉薬とは一体どの ようなものなのであろうか。 真相を探っていこう。
取材 ・ 写真 | 高木皓平
1. 馬場氏と小峯氏
2. 「ハレ」 と 「ケ」 の美意識
3. 屋号に込められた意味と、 まことのものづくり
4. 飲食店から見る有田焼の強み
5. 青き明星 (あおきみょうじょう)
6. 本日のお店
2. 「ハレ」 と 「ケ」 の美意識
3. 屋号に込められた意味と、 まことのものづくり
4. 飲食店から見る有田焼の強み
5. 青き明星 (あおきみょうじょう)
6. 本日のお店
<写真左> 馬場泰嘉 (ばば・ひろかず)
エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター
有田焼の窯元役員であり、風姿花伝を研究す る陶芸家です。日本の伝統と現代の感性を融 合した作品を制作しています。TED×Saikaiに出演したり、ディーン•フジオカ主演ドラマに美術提供したりするなど、多彩な活動を展開。
@aritayaki_baba
[写真右] 小峯充靖 (こみね・みつのぶ)
オーナーシェフ・ハレの日料理の研究家
京都の有名ホテルでのバーテンダーやソムリエ を歴任。新たに立ち上げたBar REFUELをは じめ、日本料理のオーナー業等、経験に富む 人生を歩む。現在は、出汁カレーの人気店 「シャンカラ堂」のオーナーシェフ。
「ハレ」 と 「ケ」 の美意識
馬場 日本人には、 『ハレとケ』 という美意識があります。 『ケ』 は日常の生活であり、 『ハレ』 は非日常の祝祭です。 『ハレ』 の場では、 特別な食事や器などが使われます。
小峯 シャンカラ堂では、 スパイスの香りとコクに和食の技術を取り入れた出汁カレーが特徴で、 一方の真右エ門窯さんの器は、 伝統的な技法と現代的なデザインが融合した芸術品です。 そして、 器とかでハレの要素を取り入れています。
馬場 シャンカラ堂さんでは、 小峯シェフの 「ハレー」 ライスが食べられるということですね。
小峯 そうですね!笑、 心に新たな輝きを与えることができます。
屋号に込められた意味と、まことのものづくり
小峯 カレー屋さんにちなんで、 インドのサンスクリット語という言葉で吉兆を呼ぶとか、 幸せ呼ぶとか、 そういう 意味なんです。 あと福を呼ぶとか。 それで、 シャンカラがまた別の意味では、 インドの神様である、 シバ 神の異名でもあるんですよ。 だから前日もね、 インドの方とちょっと話てて、 一度お店の名前を言ったら、シバ神ねって。
小峯 このロゴを考えるにあたって、 カタカナでシャンカラなんですけど、 よく読むとひらがなでも読めるんですよ、「しゃんから」 って。 ちょっとこじつけになるんですけど ( 笑 )。 和のテイストというか日本べースを意識しな がら、後ろの”堂”自体はちょっと日本風を意識したような名前にしました。
馬場 よく、〇〇右エ門 ( エモン ) とかって聞かないですか? 焼き物の仕事に携わる人のことを右エ門というので すが、 そこに初代の名である真一郎の” 真” の名をとって真右エ門としたのが始まりになります。 また、 初代真一郎氏の真の字には真実の真や、 嘘偽りのないホンモノという意味が込められ、 嘘をつかない子に 育ってほしいという親の願いが込められていたそうです。 その、 名前や意味の響き (嘘偽り無くひたむきに、 本質を追究し、 人の心に響く作品を制作するということ) がお客様にお喜びいただけるブランドコンセプトに はまりましたので、 真右エ門窯と名付けられました。
飲食店から見る有田焼の強み
小峯 有田焼の器は料理人の中で丈夫で使いやすいとよく言われています。 その有田焼の中でも真右エ門さんの 器は何より色が綺麗。 なんなんでしょうね。 真右エ門さんの辰砂って独特ですよね。 なんかね、 もっとね、、、、 茶色というか、 安っぽい赤色になるのですよ。 辰砂って。。。 真右エ門さんの辰砂の器は日本料理にもうまいことハマってくださる。 煮焚きものに合わせてもとても馴染ん でくれます。 今の季節だったら冬瓜とか炊いたものを入れてもいいですね。
小峯 シャンカラ堂のカレーは本場のレシピとあえて離したカレーで、 むしろ、 日本の伝統を受け継いだような 日本人に口馴染みのいいカレーを、 窯元さんの器とかとコラボして作っているようなイメージでやっています。 カレーというジャンルは色々あれど、 カレーを嫌いな人っていうのはあまりいらっしゃらないので、 そこに降り立 たせて頂いて、 自分の学んできた日本料理を取り入れてうまく表現できればと思っています。
馬場 カレーというのが一つのアートになってますよね。 有田焼を使って頂け光栄です。 実は、 もう一つご紹介した い器があるんです。
青き明星 (あおきみょうじょう)
馬場 かつて作品作りに、 いいアイデアと閃きを求めて、 京都のお寺や飲食店で感性を磨いていたことがあります。 いろんなお店を回っている間に接客が良い評判店があると聞き立ち寄ったのが、 小峯さんが経営していらし た BAR REFUEL でした。 真右エ門の作品作りで 『艶 ( 幽玄美 )』、 『自然体』、 『無心』 というコンセプトを 取り入れているのですが、 その中の一つに小峯さんから教わり大事にしていることがあります。
小峯 本当ですか!
馬場 『自然体』 という考えですね。 真右エ門窯は、 有田焼の伝統と現代の美を表現する陶磁器を作っています。 私たちは、 お客様に喜んでいただける作品を作るために、 常に 『職人道』 を守り、 自分自身に厳しく挑戦 して続けています。 職人はお客様が分かる分からないに関わらず、 手を抜くことは許されません。
如何だっただろうか。今回は、食と陶芸にまつわる話を歴史と美意識、伝統に革新という切り口で語って頂いた。2人の異色のプロフェッショナル領域ながら、絶妙に交錯する2人らしい魅力が言の葉に込められていた。真右エ門窯とシャンカラ堂、それぞれの異なる美の世界を追求しながらも、互いに共鳴し合う関係が、新たな「ハレ」と「ケ」を生み出していると言える。料理の香りと器の美が薫り立ち、食事を祝福の瞬間へと昇華させる。伝統に現代の創造性が見事に融合し、日常を非日常へと変える魔法が紡がれた匠の物語。日本に咲く新しい美の一端を見つけたハレの日であった。
本日登場した器
【有田焼】 焼酎グラス 陽光
【有田焼】 焼酎グラス 燿変辰砂 "花乃光"
本日のお店
シャンカラ堂
住 大阪府大阪市北区大淀中3丁目1−15
電 070-3792-1989
昼 11時30分~15時00分
夜 17時30分~20時30分
休 日曜日
shankarado_0701
シャンカラ堂
住 大阪府大阪市北区大淀中3丁目1−15
電 070-3792-1989
昼 11時30分~15時00分
夜 17時30分~20時30分
休 日曜日
shankarado_0701