【2023年】これでこけしマスター。こけしの由来と種類

伝統こけし伝統工芸品・民芸品
伝統こけし

こけしの魅力とは?

土湯温泉のこけし

 津軽塗や南部鉄器、大館曲げわっぱ、赤べこなど、東北地方には魅力的な民芸品や伝統工芸品がたくさんありますが、東北の温泉地が産地になっているこけしもその代表的なものです。山形県や青森県、福島県、岩手県、秋田県にも個性的でその土地の伝統や歴史が反映されているこけしが多数存在しますが、国の伝統工芸品として指定されているのは「宮城伝統こけし」だけです。

 人気キャラクターとコラボしたこけしもあり、老若男女問わず幅広い年齢層に親しまれています。こけしの魅力は、「伝統的でありながら革新的で何とも言えない趣がある」、「産地によって表情やデザイン、模様が違っていて比較したり集めたりする楽しみ方がある」、「誰からも愛される可愛らしいフォルムで癒し効果をもたらしてくれて見ているだけで幸せな気分になれる」、「東北の温泉地に行った時のお土産として最適」と言われています。見た目が可愛くて魅力的なこけしですが、歴史や由来を知ればさらに興味がわいてくるでしょう。

 こけしにも様々な種類があり、作家性のある「創作こけし」や自由度が高い「新型こけし」もありますが、今回は江戸時代末期から作られるようになったといわれている「伝統こけし」について紹介します。

「子消し説」?こけしの歴史と由来

 こけしの由来は諸説あります。一時期テレビ番組で「子消し説」が話題になりましたが裏付ける明確な文献は存在せず、民俗学的には根拠のない俗説と言われています。有力な説として子どもが遊ぶための玩具として伝わった縁起物「木で作った芥子人形」が由来であるといわれています。

 江戸時代の末頃、こけしは元々お椀やお盆など木製の生活用具を作る「木地師」と呼ばれる職人により東北地方の温泉地で生まれました。木地職人が本業の傍ら端材で子どものおもちゃとして作ったのがはじまりといわれ、その後東北の温泉地で土産物として販売されるようになりました。

 当初は子ども用のおもちゃとして、着物を着せたりおんぶして遊んだり、現在の人形のように遊んでいましたが、大正時代からは大人が鑑賞する工芸品として集める人が増加していきました。

 長い歴史を経て様変わりしていき、今では東北地方の温泉地に限らず日本全国で親しまれるようになりました。現在では、こけしを作る職人は「こけし工人(こうじん)」と呼ばれ、その形や模様などから、東北地方6県で11系統に分けられています。企業やキャラクターとコラボレーションしたポップでキュートなデザインのものもあれば、伝統を重んじた昔ながらの趣漂う渋いデザインのものも普遍的な人気を誇ります。

三大こけし発祥の地

最も古いこけしの生産地とされており「三大こけし発祥の地」呼ばれています。

  1. 鳴子温泉 宮城県
  2. 土湯温泉 福島県
  3. 遠刈田温泉 宮城県

東北地方の11系統こけしの種類【宮城県編】

こけし11系統のうち、左より土湯系(阿部治助作)、弥治郎系(新山久治作)、遠刈田系(佐藤直助作)、蔵王高湯系(斎藤源吉作)、作並系(高橋胞吉作)。木人子室蔵。
こけし11系統のうち、左より土湯系(阿部治助作)、弥治郎系(新山久治作)、遠刈田系(佐藤直助作)、蔵王高湯系(斎藤源吉作)、作並系(高橋胞吉作)。木人子室蔵。
  1. 作並系 【仙台市、作並温泉、山形市(山形県)、米沢市(山形県)、寒河江市(山形県)、天童市(山形県)】
     仙台市や作並温泉だけではなく、天童市や米沢市や山形市や寒河江市などの山形県の地域も産地として含まれているため、山形作並系と呼ばれることもあります。山形を独立系として扱う場合もありますがここでは同じ系統として紹介します。
     遠刈田から伝わった技をもとに、山形系の影響を受けつつ独自に発展したと言われています。差し込み式の小さな頭と、かつて子どもが握って遊んだ名残といわれる細い胴が特徴です。胴の裾を絞った形、そしてカニ菊と呼ばれる紋様が代表的です。
  2. 鳴子系 【鳴子温泉】
     遠刈田、土湯とともに伝統こけし三大発祥の地の一つです。はめ込み式で、首を回すとキイキイと音が鳴り、水引で結んだような前髪が特徴です。 胴は中ほどが細く、肩と裾が広がった形で、菊花など華やかな模様が描かれています。
  3. 遠刈田系(とおがった) 【遠刈田温泉】
     鳴子、土湯とともに、伝統こけし三大発祥の地の一つです。差し込み式の頭は大きく、「手柄」と呼ばれる赤い放射状の飾りやおかっぱ頭が描かれています。切れ長の細い目と、なで肩の細い胴、そして重ね菊や木目模様が特徴です。
  4. 弥治郎系 【白石市弥治郎】
     三大発祥の地とされる鳴子や遠刈田よりは、少し新しいと言われています。差し込み式の頭は大きく、ベレー帽のような多色のろくろ模様が特徴です。胴にくびれがある女性的な形で、ろくろ模様の上に衿や裾がシンプルに描かれています。

東北地方の11系統?こけしの種類【山形県編】

こけし11系統のうち、左より鳴子系(佐藤乗太郎作)、肘折系(奥山喜代治作)、木地山系(小椋米吉作)、南部系(藤原政五郎作)、津軽系(三上文蔵作)。木人子室蔵。
  1. 肘折系 【肘折温泉】
     三大発祥の地とされる鳴子と遠刈田の混合の系統として発達したとされています。頭は差し込み式で、にんまりした表情が特徴です。 肩が張って段がある太目の直胴で、重ね菊や撫子など、草花を描いた模様が多いです。
    (※宮城県の4系統+肘折系で「宮城伝統こけし」として国の伝統工芸品としてしてされています)
  1. 山形系 【山形市】
     作並で学んだ木地師が伝えたと言われ、作並系と同様差し込み式の頭は小さく棒状の胴体は細いのが特徴です。 頭には赤い飾りと中心を貫く髪、顔には特徴のある割鼻が描かれ、胴の模様は紅花、牡丹、菊、梅などの描彩が主流です。
  2. 蔵王系 【蔵王温泉】
     遠刈田系の影響を受けて発展したと言われています。差し込み式の頭は大きく、赤い放射状の飾りやおかっぱ頭が多く、どっしりした胴体には、桜くずし模様や重ね菊模様、牡丹模様などが描かれています。

東北地方の11系統?こけしの種類【福島県編】

  1. 土湯系 【土湯温泉、飯坂温泉、岳温泉】
     胴の部分がボーダー柄になっているのが特徴的で色々な太さの線を組み合わせる模様が主体となっています。伝統こけし三大発祥の地の一つです。頭は小さく、はめ込み式で首を回すとキイキイと音が鳴ります。頭には黒の蛇の目模様と大ぶりな前髪、鬢(びん)には髪飾りが描かれ、顔は鯨目にたれ鼻、おちょぼ口で、胴は細く、繊細なろくろの横縞模様が特徴です。歌舞伎メイクのたこ坊主など特徴のある形があることでも知られています。

東北地方の11系統?こけしの種類【青森県編】

  1. 津軽系 【温湯温泉、大鰐温泉】
     頭と胴を1本の木から作る「作り付け」の手法です。頭はおかっぱが多く、裾が広くて、胸がふくらんだ胴は、温湯こけしならではの形です。 津軽藩の家紋である牡丹模様やアイヌ模様、ねぶたの力強い模様が描かれているのが特徴的です。

東北地方の11系統?こけしの種類【岩手県編】

  1. 南部系 【盛岡、花巻温泉】
     赤ちゃんが遊ぶ玩具や「キナキナ」と呼ばれるおしゃぶりが原型になっているこけしで、頭部がゆるいはめ込み式のため、頭部がゆらゆらと揺れるという珍しい作りです。彩色がないのが特徴です。重ね菊やヨダレ掛模様など描彩されたものもありますが、素朴で簡素なものが多いです。

東北地方の11系統?こけしの種類【秋田県編】

  1. 木地山系 【木地山】
     頭部の髪の毛の部分に赤い飾りが施されているのが特徴的で、全体的に華やか。頭と胴を1本の木から作る「作り付け」の手法です。頭はらっきょう型で、赤い飾り布をつけた大きな前髪や、おかっぱ頭が描かれています。 胴はどっしり太く、縦縞の着物に、梅の花の前垂れ模様を描いたものが代表的です。

こけしの作り方

  1. 原木伐採 ミズキ、いたや、ビヤベラ、エンジュが使われます。
  2. 運搬
  3. 乾燥
  4. 玉切り
  5. 木取り
  6. 荒挽き
  7. かんな掛け(仕上げ挽き)
  8. 仕上げ磨き
  9. 漂白
  10. 描彩
  11. 仕上げ

こけしを買える、絵付け体験をできる施設

こけしの菅原屋

一からこけし作りを体験できるこけし専門店。ろくろを回しながら、かんな棒をあてて削り、磨き上げる工程は、集中力がいる作業なだけに、出来上がった時のうれしさはひとしお。もの作りの面白さを実感できる貴重な時間だ。どこにもない、自分だけのオリジナルこけしを楽しみながら作ってみてはいかが。オリジナルのこけしを、ろくろを廻して作ろう

https://www.jalan.net/kankou/spt_guide000000176529/?screenId=OUW1701&influxKbn=0

白石市弥治郎こけし村

弥治郎の生活と民俗、森から木を取りこけしになるまでの経緯と、その歴史を一堂に展示。体験コーナー(こけしの絵付け)有り。工人の工房見学も可能。

https://www.jalan.net/kankou/spt_04206cc3290158357/?screenId=OUW1701&influxKbn=0

こけしの岡仁

 鳴子といえばこけし!鳴子伝統こけしの職人さんが丁寧に教えてくれます。

伝統こけしを再現するも◎、似顔絵を描くも◎

自分が描いたこけしをプレゼントし合える★カップルにもおすすめ♪

思い出の品に☆

https://www.jalan.net/kankou/spt_04482ga3550084512/activity/l00001388C/?showplan=spot_detail_calendar&screenId=OUW2201&influxKbn=0

日本こけし館

日本こけし館は宮城県大崎市鳴子温泉に所在するこけしに関する施設。こけしの展示を鑑賞できるほか、こけしの絵付けを体験することができる。 

http://www.kokesikan.com/
こけしの絵付け体験の様子

 

 東北地方の温泉地には様々なタイプの伝統的なこけしがありますので、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。お土産に最適なものが多数市販されていますし、絵付け体験が出来る施設も数多く存在します。自分で絵付けをした世界で一つだけのオリジナルのこけしを作れば旅の思い出になりますし、自分好みに仕上げることが出来るというのが最大のメリットです。

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