業務用食器で知られるやま平窯ってどんな窯元?

職人・窯元・会社

有田焼と一口に言っても様々な窯元が存在します。その内のひとつに挙げられるやま平窯は、戦後間もなくに前身である山平窯が創業され、法人化に至ったのは1972年のことです。古くから業務用食器に特化してきた歴史を持ち、やま平窯の名を一躍世に広めたのが、エッグシェルと呼ばれる食器の商品化をした頃です。メディアへの登場以降、その優れた品質やデザイン性が認知され、現在では業務用だけでなく一般家庭からも広く注目されています。

特殊なエッグシェル(卵殻手)

やま平窯の代名詞とも言えるのがエッグシェルであり、まるで卵の殻のごとく薄い構造を持っているのが特徴です。もともとは江戸時代から作られていた卵殻手という、輸出用の食器が原型で、これに改良を加えていくことで厚さが1mmにも及ばないごく薄い食器を作り出すことに成功しました。なお、卵殻手については明治初期頃まで輸出が続けられていましたが、戦争の影響もあって生産がされなくなったという歴史があります。それに、高い技術力が必要な手法であったこともあり、容易には作り出すことができなかったのです。やがては幻の器と呼ばれるようになりましたが、やま平窯の手によって再び現代で復活する運びとなりました。

エッグシェル

エッグシェルの特徴

エッグシェルの特徴としては、まず持った時のえも言われぬ軽やかさです。繊細で薄いつくりならではの質感で、重さを感じさせない触れ心地を堪能させてくれます。そして特筆すべきなのが優しい口当たりであり、そっと唇に馴染み主役の邪魔をすることがありません。デリケートな飲料にも最適で、味わいを存分に楽しみつつ、心地の良い至高の瞬間を演出してくれることでしょう。 光を適度に通す性質による、美しい彩りを堪能させてくれるのも魅力のひとつです。粒子の細かい特殊な陶土が用いられており、白さが引き立つ独特な表情を見せています。光の通過率に優れていることから、飲み物を注いだ時にも優しい色合いが際立ち、光の具合によって様々な彩りを表現してくれるのです。見て楽しむという食事の醍醐味を存分に味わえることも、プロ用食器として支持されている理由で、食事の味わいをワンランク高めてくれる働きで人気です。

留意点

非常に繊細な姿形をしている食器なだけに、耐久性に一抹の不安はございます。じっくりと時間をかけて焼き締めを行っていることは事実ですが、デリケートな扱いが必須となります。エッグシェルは優れた品質の高さもあって、これまで幾度もの受賞歴を誇ります。高い品質は、単に製法が優れているだけでなく、幾重にも詰め込まれた職人のこだわりがあってこそのものです。各工程に技術の粋を尽くした手間が掛けられており、細部に至るまで丁寧に職人の技が使われています。 シリーズ化されている食器であり、様々なバリエーションを楽しめるのも醍醐味と言えるでしょう。スタンダードな形のタンブラーやビアグラスなどをはじめ、多様な料理に合わせられるボウルも人気です。どのデザインも主張をし過ぎない控えめな佇まいでありながらも、内からにじみ出る上質さを感じられるはずです。

業務用食器窯元として

やま平窯は業務用食器に特化してきたということもありプロ仕様の製品が多いのですが、区別されたものではありませんので、もちろん一般家庭でも気軽に選択することができます。食を大切にする全ての人に愛される器であってほしいという窯元の想いがあり、シーンを問わず活躍させられます。管理についても難しいものではなく、食洗器で気軽に洗える使い勝手の良さを備えているのも魅力です。扱いに手間が掛かりそうと尻込みをする必要もないですし、デイリーユースとしても気兼ねなく楽しむことができるでしょう。

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