有田焼の異端児伝作窯ってどんな窯元?

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有田焼は佐賀県有田町を中心として焼かれる磁器ですが、その中に伝作窯、シャイニングチャイナと呼ばれる窯元があります。有田焼は江戸時代から作られており、今ではもちろん伝統工芸品にも指定されていますが、その中で異端児と呼ばれる伝作窯とはどんな窯元なのでしょうか。

名前の由来

まず伝作という名前の由来ですが、これは伝統を作るという意味合いが込められています。これだけでも異端と称されることの一端が垣間見えるというものでしょう。普通、伝統とは守るものや継承するものであって、まだ十分に確立もしていない何か新しいものであればともかく、既に十分過ぎるほどに確立しているものに対して自ら作るなどという大それたことを言い出すのは余程のことです。

伝作窯の湯呑

特殊な有田焼

どのように異端かという説明はいろいろあるかもしれませんが、端的に言えば磁器と陶器を組み合わせることに大きな特徴があります。陶磁器という用語がごく普通に使われているように、陶器と磁器は似たものであって日常的には両者の違いをあまり意識しない人も多いかもしれません。ですが、それこそ伝統の世界では両者は全く別物です。最初にも書いたように有田焼は磁器であり、陶器ではありません。しかし、これを理解するにはある程度は磁器と陶器の違いについて知らなければ話にならないでしょう。 磁器も陶器も、土や砕いた石を練り固めて焼いて作ったものである点では同じです。だからこそ陶磁器として総称されることもあるわけです。しかし、細かい点では両者は異なります。磁器は、主な原料は陶石と呼ばれる石質のもので、焼くときの温度は1300度前後と比較的高温です。出来上がったものの特徴として、色は比較的白っぽく、薄手のものが多くなっています。硬度があるので、スプーンなどで叩くとキンという感じの澄んだ音がしますし、薄いものは光を透過させます。これらの説明から分かるように、ガラスに近いような性質を持っています。 これに対して陶器は、主な原料は陶土と呼ばれる粘土質のもので、焼くときの温度は1000度前後と比較的低温です。出来上がったものの特徴として土の質感があり、黄土色や灰色などに見え、厚みがあるものが多くなります。もちろん器として用いられる焼き物ですから柔らかいという形容はあまり適当ではありませんが、叩くとコンという感じの低めの音がします。硬さがあまり高くないので薄手で作ることは難しいため厚みがあるものが多いのですが、仮に多少薄いものであっても光は透過させません。

茶話一式

磁器と陶器の融合体

このように磁器と陶器は出来上がりの性質が異なるだけでなく原材料や焼く温度も異なるので、一緒に作ることはできないと考えられるわけですが、伝作窯はこれに挑戦し、両者を組み合わせることに成功しています。これができるのは伝作窯だけであり、また実用新案を取得しています。 また別の特徴として、シャイニングチャイナの名前のとおり、輝くようなカラフルな色の品物が多く、非常に目を引くことが挙げられます。一般的に陶磁器と言えば、白や青系統の色か、それとも元の粘土の色合いを活かした黄土色や灰色系統の色の品物がほとんど占めています。実際に自分の家の食器棚などを覗いてみると分かるはずです。赤、黄、緑といったカラフルな色合いの陶磁器は、全くないわけではないもののそこまで一般的ではありません。 ですが伝作窯ではこのようなカラフルな色の品物も非常に多く、しかも何か特別な用途だけに用いることを意図せずに日常的に使えることを目指したものとなっています。現地に買いに行かなくてもオンラインショップもあり全国どこでも配送してもらえますので、気になる人はウェブサイトを確認してみると良いでしょう。

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